生アフレコと歌で蘇る「ガンダムSEED」の記憶 そして今、新作が届けられる意義

「機動戦士ガンダムSEED FESTIVAL ~CONNECT あの時代(とき)を越えて~」出演者。左からMCの吉田尚記アナウンサー、石田彰、下野紘、田中理恵、保志総一朗、鈴村健一、西川貴教、玉置成実。

アニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズのイベント「機動戦士ガンダムSEED FESTIVAL ~CONNECT あの時代(とき)を越えて~」が、本日11月19日に東京・文京シビックホールで開催された。イベントにはキラ・ヤマト役の保志総一朗、ラクス・クライン役の田中理恵、アスラン・ザラ役の石田彰、シン・アスカ役の鈴村健一、オルフェ・ラム・タオ役の下野紘と、主題歌アーティストのT.M.Revolution、玉置成実が出演した。

2002年から2003年にかけて放送された「機動戦士ガンダムSEED」、2004年から2005年にかけて放送された続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」。そして約20年の時を経て、2024年1月26日に最新作「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」が公開される運びとなった。本日のイベントはそんな「ガンダムSEED」シリーズの物語を振り返り、最新作へ向けての布石を打つもの。会場には新作を待ち望んだ多くのファンが足を運び、20年経っても冷めやらぬ熱気に満ち溢れていた。

イベントはスクリーンに映る「ガンダムSEED」第1話の冒頭パートから、緊張感たっぷりに幕を開ける。そのまま第1期オープニングテーマ「INVOKE -インヴォーク-」のイントロが流れ出すとともに、ステージにT.M.Revolution・西川貴教の姿が現れると、客席からは割れんばかりの歓声が沸き上がった。放送当時の記憶を鮮やかに蘇らせるその歌声に、客席はペンライトの灯りと「アニキー!」という声援を贈る。アニメを追体験するように、ステージはシームレスに「ガンダムSEED」の振り返りパートへ。石田演じるアスラン、田中演じるラクス、そして保志演じるキラと、それぞれの視点によるナレーションで物語が振り返られる。なおここで披露されたシナリオは、2003年に開催された「機動戦士ガンダムSEED FESTIVAL」で披露したものの抜粋版とのこと。石田はアスランの抱える葛藤や怒りを、田中はキラやアスランを見つめるラクスの思いを、保志は戸惑いながら戦いに身を投じる繊細なキラの心情を、臨場感たっぷりに表現した。

鈴村が加わっての「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の振り返りパートは、同作の小説版に携わった後藤リウがシナリオを担当。憎しみと怒りに囚われたシンの心情を伝えるモノローグはもちろん、シンとキラとの戦いは映像とともに生アフレコで届けられ、その迫真の演技に観客も息を呑む。そして戦いを経た2人が再び邂逅し、握手するシーンが届けられると、続いてステージに現れたのは玉置成実。「Reason」で物語を切なく締めくくったのち、「盛り上がっていきましょう!」と呼びかけ「Believe」「Realize」を続けて披露し、会場を大いに沸かせた。

ここまで息つく暇もなく展開されてきたイベント。MCの吉田尚記アナウンサーの呼び込みで、改めて保志、田中、石田、鈴村がステージに揃う。一同はおよそ20年ぶりのファンとの再会を喜び、久しぶりにファンの前でキャラクターを演じた感想や手ごたえを口にする。さらに劇場版へのコメントを求められた保志は、「みんなの妄想を軽く覆しますよ。思いもしない『ガンダムSEED』が待っています」と回答。石田が「キラが出てこないとか?」と続けると、「僕、ここにいていいのかな?」と保志もそれに乗っかり、鈴村に「ボケかどうかわからないです(笑)」とツッコまれるなど軽快なやり取りでファンを笑わせた。

続いてはオープニングに登場した西川が再びステージに。「ガンダムSEED」ファンの熱い思いを一身に浴び、笑顔を見せながら「ignited -イグナイテッド-」と「Meteor -ミーティア-」を歌い上げた。この日を迎えたことを「夢のようです」と語り、「本当にここまで、皆さんと粘り強く、戦ってまいりましたね。ここにいるのはファンの皆様ではなく、我々の同胞だと思っております! 強く願い、祈り続けたその思いが! 今、まさに! 20年の歳月を超えて!」と、念願叶っての続編に熱い思いを滾らせる西川。同じくTVシリーズの主題歌を担当した玉置は、当時は10代だったこともあり、「若い世代のみんなが戦場に出て闘っているのが、胸が苦しくて苦しくて……」と大人になっての感想を述べつつ、「またみんなに会えるんだ、って」と、いちファンとしての期待を語る。そして西川は「この作品が、20年前は遠いどこかの出来事という印象が皆さんあったと思うんです。今、世界のどこかで同じように、それぞれがそれぞれの正義を持って、刃を向け合っている状況がある中で、日本からアニメという表現で、世界に平和やメッセージを届けていければと思います」と、2024年に「ガンダムSEED」の新作が届けられる意義についても触れた。

そしてイベント後半では、「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」からの新キャスト・下野紘も加わってのトークコーナーが展開された。ここまで楽屋でイベントの様子を観ていたという下野は、ファンの熱気にプレッシャーを感じている様子。TVシリーズの放送当時、アニメ声優としてデビューしたばかりだった下野は「羨ましい……!」という感情で「ガンダムSEED」を観られなかったと明かす。しかし実際観てみたところ、「豪華な声優さんが出てくる、スタイリッシュな感じのガンダム作品だと思っていたんです。それが血みどろだし、愛憎うずまくし……」と、当時思い描いていたイメージとのギャップを率直に口にする。

劇場版のアフレコはもう終わっているとのことで、会場では福田己津央監督がキャスト陣への印象を語ったコメント映像も届けられた。「今回キラが軸になってます」「ラクスをより好きになった」「カッコいいアスランをいかに落とそうか」「本来のシンは元気で明るく楽しい子」など、ヒントになるような言葉もちりばめられる中、下野演じるオルフェ・ラム・タオについては「ひと言でいうと明るいキラ」と表現。「叫んでも負けてないです」とのコメントもあり、下野は「僕、叫びます。果たして誰に負けてないのかは、劇場で確認していただきたい」と期待感を煽った。

さらにステージで劇場版の新PVと、主題歌が西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」に決定したことが明かされると、会場からはどよめきが。西川は「このタイミングで1つ、僕なりの時代を紡ぐ楽曲をきちんとお届けできれば」とコメントし、保志は「僕もTM NETWORKが好きで、その世代なので、ここで邂逅が起こるんだって感動しています」と両者のコラボを喜んだ。最後は出演者1人ずつから劇場版公開に向けてのメッセージが贈られる。保志は「これからのキラ・ヤマトを演じるのがすごく楽しみです」と改めて意気込みを伝え、田中は福田監督がコメント映像内で「3回は観てほしい」と述べたのを受け、「ぜひ10回くらい観に行っていただきたい」とアピールする。石田は「2カ月間、期待をどんどん重ねていただいて観ていただきたい。それにお応えできる作品だと思っています」と呼びかけた。

「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」

2024年1月26日(金)全国ロードショー

スタッフ

企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:福田己津央
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷学、禅芝、
射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田智
色彩設計:長尾朱美
美術監督:池田繁美、丸山由紀子
CGディレクター:佐藤光裕、櫛田健介、藤江智洋
モニターワークス:田村あず紗、影山慈郎
撮影監督:葛山剛士、豊岡茂紀
編集:野尻由紀子
音響監督:藤野貞義
音楽:佐橋俊彦
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹

キャスト

キラ・ヤマト:保志総一朗
ラクス・クライン:田中理恵
アスラン・ザラ:石田彰
カガリ・ユラ・アスハ:森なな子
シン・アスカ:鈴村健一
ルナマリア・ホーク:坂本真綾
メイリン・ホーク:折笠富美子
マリュー・ラミアス:三石琴乃
ムウ・ラ・フラガ:子安武人
イザーク・ジュール:関智一
ディアッカ・エルスマン:笹沼晃
アグネス・ギーベンラート:桑島法子
トーヤ・マシマ:佐倉綾音
アレクセレイ・コノエ:大塚芳忠
アルバート・ハインライン:福山潤
ヒルダ・ハーケン:根谷美智子
ヘルベルト・フォン・ラインハルト:楠大典
マーズ・シメオン:諏訪部順一
アウラ・マハ・ハイバル:田村ゆかり
オルフェ・ラム・タオ:下野紘
シュラ・サーペンタイン:中村悠一
イングリット・トラドール:上坂すみれ
リデラード・トラドール:福圓美里
ダニエル・ハルパー:松岡禎丞
リュー・シェンチアン:利根健太朗
グリフィン・アルバレスト:???

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